交差する自動販売機前 




「〜♪」
エリゴス君は楽しそうに嬉しそうに歩いていました。
エリゴス君はプリンを買いにいくのです。エリゴス君はプリンが大好きなのです。
(エリゴス、プリンを2つ買ってきてください。俺が買ってくるとべリス様なんでか怒りますから。ホント、なんでなんだろう……。前は喜んでくれたみたいだったんだけど)
苦労性の兄にそう頼まれて、エリゴス君はプリンを買いにいくのです。

「………!」
そんなエリゴス君は自動販売機の前に変なモノを見つけてビクッとしてしまいました。
「………?」
なんでしょうか。
緑色のゴミ袋? いいえ違います。それは女の子で、マモンという名前でした。
「……………」
「くッ……もう少しですよぉ……ほっ……おりゃっ」
彼女は地面にはいつくばって自動販売機の下をまさぐっています。
「……………」
「おっ届いたですよ……おおっ! おおーっ!」
がばと起き上がってきらきらした瞳できらきらしたものをつまんでいます。
「……………」
「―――!? ぅおわァ、いいいいいつからそこにいやがったですかよ!? Why?」
Whyじゃないです。

「………?」
エリゴス君が小首を傾げると、
「あっああコレ? ちょっと落としちゃっただけだってのですよ。あはは、うん、取れてよかったですよ!」
一人で喋るだけ喋って乾いた笑い声を響かせるマモン。
エリゴス君が聞きたかったのは、そのきらきらしたのは何なのかということだったのですが、暴走する少女は「あばよです!」と勢いよく別れを告げると全力で走っていってしまいました。
「………? ……………」
なんとなくひっかかりを覚えるエリゴス君でしたが、そのひっかりもプリンという誘惑の波の前に撃沈されてしまいました。波というよりむしろ魚雷。
エリゴス君はプリンを買いにいくのです。エリゴス君はプリンが大好きなのです。
エリゴス君は楽しそうに嬉しそうに歩いていきました。



「ベルゼビュートッ!!」
緑色の少女マモンがにこやかにたたずむ青年にスライディングをかけます。
「おやマモン。約束通りお金をもってきましたか」
ベルゼビュートは読んでいた本から目を離さずに長い足を動かしてそれを避けながらそういいます。
「あったりまえですよっ! だからさきいか、さっさとよこすですよ!」
マモンがぴんと弾いたものを軽くキャッチしてそれを確認したベルゼビュートはふむ、と頷き、

「これはゲームセンターのコインですよ。マモン」







「ち、ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! です!」


Fin.


Cutter/黒瀬さん


prevail/らわんさん



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