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スマシス!! 水銀燈1000人斬り


そこは暗く、灯りといえば緑に輝く不気味な非常灯と、目障りな赤い緊急灯くらいである。
リノリウムの床は気持ちの悪い感触を足に返す。響いた足音は闇に吸い込まれて、消えた。
右には延々と連なる扉の群れ。左には奈落が蠢いている。

夜の病院。
口型のこの病院は、中庭と吹き抜けを囲むようにして病室がある。
5階建ての入院病棟。最上階にいるのはめぐ。

指輪が奇妙な熱を放ったのは先刻だった。
気になってめぐの病室へ舞い上がろうとしたら、何者かの攻撃を受けた。
攻撃? それは語弊があるかもしれない。

水銀燈は、移動させられたのである。

どうやってかはまったくわからない。だが、気付いたときには病院から程遠い場所を飛んでいたのである。
事態が予想よりも悪いことに思い至った水銀燈は、低空飛行で病院へと舞い戻り、その扉を開いたのだった。

病院は、無人。
人間は全員死んだように眠っていた。
今、水銀燈は二階にいる。
階段と向かい側の廊下を歩いていると、闇の向こうに薄らぼんやりとした、影。
なんだ?
それは、急激に膨張して水銀燈へと肉薄する!

(これは、雛苺の苺蔓!?)

咄嗟に壁にはりついて突進してきた激流を避ける。
「千もの人形があなたを阻むのよ? 水銀燈」
無邪気な声で、雛苺が闇の向こうからそういう。
「なんの、ことなのぉ雛苺…!」
廊下をうずめて退路を断つ苺蔓を無視し、声の聞こえる闇へと足を向けて走り出す。
とたんに襲いかかってくる細い蔦。
その手に剣を現し、脆弱な植物を切り裂く!

「うふ。あなたはめぐを助けられないのよ」
「なんだ、お前はッ!」
そこにいたのは本来から半分に縮まった大きさの、雛苺だった。
「助けることはできないのよ」
「気持ち、悪いッ!」
下から振り上げて一閃。雛苺が吹っ飛び、闇に霧散する。まず1体。
「なんだこれは。雛苺の幻影? 雛苺にそんな力が?」

しかし考える間もなく闇から小さな雛苺が襲いかかってくる。
激突しそうになった雛苺を中空で切り落として2体目。
足にしがみつく雛苺は壁に叩きつける。床に落ちる前に霧散して3体目。
眼前に巨大なくんくん人形が出没!
剣を薙いで横に切り裂き、残った下半身を蹴飛ばすと、そこから4体目が飛び出してくる。
流れた体を戻す反動で4体目を斬り断ち、さらに上から跳びかかってきた5体目を一閃。
6体目を左の裏拳で吹っ飛ばし、7体目は右の肘で突き落とす。

角を曲がって階段へと走る。
陰に潜んでいた8体目と9体目、そして10体目が繰り出す苺蔓を無造作に切り裂いて、その3体を一気に蹴り飛ばす。
後ろから現れた11体目を斬り叩いて、返す剣で12体目と13体目。
足元から苺蔓が噴出し、絡めとろうと蠢くのを左手で制し、
「メイメイ!」
力が凝縮、収斂して爆裂! 苺蔓を跡形もなく消し飛ばす!
人工精霊の攻撃の余波で14体目、15体目、16体目が壁に叩きつけられて霧散。
さらに17体目、18体目がガラスをぶち破って中庭へと落ちた。
床を這う十数もの雛苺! 天井を重力に逆らって這い進んでくるものまでいる。

「気持ち悪いって、言ってるでしょ!」

足元へと迫った19体目を容赦なく踏み潰し、20体目を串刺しにする。
21体目は22体目とともに蹴り上げる。
天井から襲いかかってきた23体目を引き抜いた剣の柄で粉砕し、また振り下ろして24体目と25体目を霧散させる。
26体目を切り払い、後ろから不意打ちをかける27体目は左手で振り払う。
苺蔓を伸ばす28体目を突きで霧散させ、引き戻しながら29体目とに30体目を断ち割る。

ようやく階段にたどり着き、背後から迫る31体目を振り返りざまに唐竹割にして、水銀燈は3階への階段へ足をかけた。


残り969体。


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