スマシス!! 水銀燈1000人斬り


蔦の塊が切り裂かれ、中から大量の蒼星石があふれ出る。
蔓を蹴り、蔓をつかみ、蔓に乗って水銀燈へと襲いかかる!
「鬱陶しいのよぉっ!」
がむしゃらに前進する水銀燈へ143体目を筆頭に数十もの空虚な人形が立ち向かう。
4体をまとめてぶった切り、2体がそれに巻き込まれる。
左腕を振って149体目、150体目、151体目を粉砕。
最初の6体が霧散するより早く、剣が水平移動して軌道上の人形を断ち壊す。
右脚が跳ね上がって157体目の顎を砕く、吹っ飛ばされた157体目が158体目を巻き込んで爆散。
右脚のかかとが垂直に落ちて159体目を粉々にする。左手が宙の160体目をつかむ。
引き戻されてきた剣が前に突き出されて6体を破壊、5体を吹き飛ばす。

水銀燈がたった一歩進んだだけで約30体の人形が霧散した。
二歩目が踏み出される。

左脚が前に出ると同時につかまれていた160体目が握り潰される。
握られた拳が172体目の腹部を貫通して173体目の右足をつかむ。
剣が逆手に持ちかえられ、左脚に斬りつけようとする174体目を上から貫き爆砕する!
蒼星石をつかんだままの左手が振るわれ、175体目を殴り飛ばす。
そしてつかんでいた173体目を前方へと投げ捨てる!
ついで左肘が176体目の顔面へ打ち込まれ、球体間接をきしませて手刀が唸り、177体目の首をはねる。
再度左肘が背後の178体目を砕く。
剣の柄から手を放して、右腕が前へと突き出される。

「メイメイ!」
10体もの蒼星石を蒸発させて、熱波が苺蔓へと叩きつけられる!
着火!
ごうと音を立てて蔦が燃えていく。
中から最悪の声が聞こえてくるがそれすらも爆炎が掻き消す。
炎を破って溶けかけの蒼星石が飛び出してくる。
「マァスタアアアアアアアッ!」

まるでホラー映画だ。
夜の病院に動く人形。そう考えて水銀燈は心中で自嘲した。
動く人形は自分も同じだ。
呪われている。
水銀燈は渦巻く怯懦を振り切るように、剣を引き抜いた。

斬撃!
振るわれた刃が189体目を分断し、190体目を欠片と化す!
粉々になった人形がガラスに叩きつけられてそれを粉砕、中庭へと落ちていく。
脇目も振らずに繰り出される連撃が12体の人形をぶち壊す!
剣先が、刃が、峰が、剣腹が、次々と人形を破砕し粉砕し爆砕する。軌道上に存在するすべてが打ち砕かれる。
絶技を掻い潜った燃える蒼星石が鋏を広げるが、その鋏ごと水銀燈の左腕がひしぎ、壊す。

脚が輪舞を踊り、腕が宙を駆け、剣が円弧を描く。

242体目が滅多切りにされて床に落ち、霧となって消える。
243体目が壁に叩きつけられて砕ける。
245体目が割れているガラスをさらに壊して中空へと投げ出される。
「はぁっ、はぁっ……はっ」
水銀燈が動きを止める。
死した人形が掻き消えていく。
荒い息を整え、服の裾を整える。ずれたヘッドドレスを戻して、水銀燈は笑った。
「返り血がなくて、安心するなんて、変なのぉ……」
そうして、再び疾駆を開始する。

階段の直前にある少し広い空間。
そこに躍り出たとたんに、水銀燈は冷気を感じる。
「くすくす」
頭上を埋め尽くす100の雛苺!
天井など毫も見えない。
どっと音を立てて落下してくる、その莫大な質量に水銀燈の背筋が凍る。
「メイメイィっ!」
光芒が輝き、爆滅の波動を吐き出す!

威力フルスロットルの人工精霊ですら天井に傷もつけられないほど密集していた雛苺たちが一掃されていた。
余波がナースステーションのガラスを割る。
甲高い音を立てて撒き散らされるガラスの破片を踏んで、幾十もの蒼星石が現れる。
廊下の穴からは雛苺が這いずり出てくる。
水銀燈が妖しく微笑し、その右腕が振るわれる!

350体目と351体目の蒼星石が投擲された剣に貫かれて爆砕。
大振りな攻撃の隙をついて大量の蒼星石と雛苺が襲い掛かって来る!
伸びた右腕を戻す反動を使って肘で雛苺を粉砕、同時に左腕も駆動して振るわれた鋏をつかむ。
右の裏拳が353体目である雛苺を捉え、落とされた拳が直下の354体目である雛苺を床へ叩き落す。
つかんでいた355体目である蒼星石を投げ捨てて356体目である蒼星石を一緒に壁に叩きつける。

右腕を振って3体の雛苺を吹き飛ばす。
右腕に食らいつく2体を振り払って、瞬時に跳ね上げて腕全体を跳んでいた5体の雛苺にぶつける。
手首が回転して367体目である雛苺をつかむ。
つかんだまま肘を落として368体目である雛苺を突き、さらに肩関節を駆動させて背後へと肘鉄を打ち込む。
横殴りに砕かれた369体目である雛苺。
それが落ちるより早く水銀燈の腕が跳ね、拳が370体目を、続けて371体目を砕く。
同時に握られたまま振り回されていた367体目がばらばらに壊れて消える。

蒼星石側も水銀燈は左腕1本で応戦していた。
鋏は危険なので指でつまみ、剥がしとる。
がら空きになった背中へと手刀を叩き落し、372体目である蒼星石を断ち割る。
373体目である蒼星石が肘に砕かれ、連動した拳が374体目を殴り飛ばす。前方へ回り込む375体目である蒼星石をはたく。
手首を曲げて鋏を奪い取り、376体目である蒼星石を肘でぶち壊す。
戻る左腕が377体目である蒼星石を強襲し、さらに伸ばされた腕は2体3体と蒼星石を砕いていく。
380体目が腰をつかまれ、381体目である蒼星石を巻き込んで床に叩き込まれる。

溢れる雛苺群を一瞥する水銀燈。
その右手が紫色に光る。
「メイメイッ!」
裂帛の気合とともに放たれる爆熱!
牙を剥く暴嵐が荒れ狂い、累々と這いつくばる雛苺たちを破滅させていく!
リボンが飛び散りドレスが引き裂かれ髪が燃え出して体が融ける。
凄惨残酷な地獄絵図が、まさしく断末魔の叫び声を背景音楽にして霧散していく。

ガラスが融け落ち、壁や天井が黒焦げになったのを見もせずに、水銀燈は左腕を振るう。
522体目である蒼星石が砕け散る。
殴り飛ばされた523体目が緊急隔壁にぶち当たって霧散。
「何をそんなに恐れているのぉ? おばかさぁん」
水銀燈の挑発に、一斉に蒼星石が床を蹴る。
踊るように広げられた腕が周り、5体の蒼星石が粉砕される。天井を蹴った2体の蒼星石は見事なハイキックに逆走して天井に埋め込まれた。
右の正拳突きが531体目を粉々にし、左の肘打ちが532体目を床へと叩きつける。
533体目が踏み潰され、534体目が蹴り飛ばされ、535体目が殴られる。
投擲された鋏を左手ではたき落とし、とびかかる536体目をつかみ、足元の537体目を蹴飛ばして空いている左手が538体目を砕く。
つかんでいた蒼星石を投げ飛ばして536体目と539体目を霧散させる。

膝で540体目を再起不能にし、跳ね上がったかかとが541体目の腹部にめり込む。
脚を振り下ろして542体目を圧壊し、右拳で543体目を殴り飛ばしてから剣の柄を握り締める。
壁に刺さった剣を抜くと同時に柄尻で544体目を吹っ飛ばす。
最後まで残っていたハーフサイズの蒼星石を、逃がさず蹴り飛ばして緊急隔壁で粉砕する。
「やっと4階ねぇ……」
きっと階段を睨んで、水銀燈は進撃を再開した。


残り456体。


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